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あるところに、一人の生まれたばかりの赤ん坊がいました。 赤ん坊は泣いています。 生まれたばかりの、生命力あふれる声で、泣き続けます。 でも、誰も気づいてくれません。 やがて、赤ん坊の声はか細くなっていきました。 あたたかさを知らない赤ん坊は、冷たくなりました。 あるところに、一人の幼い少女がいました。 少女は遊んでいます。 あどけない、笑みをこぼしながら、どんどん少女は遊びに夢中になります。 やがて、日が暮れました。 少女は、帰るべき家を忘れてしまいました。 窓あかりを見つけられない少女は、暗いところでひとりぼっちになりました。 あるところに、大人になりきれない少年がいました。 少年は自分のことを考えています。 将来のこと、今のこと、自分を囲む人たちのこと。 でも、少年といっしょに悩んでくれる人はいません。 少年は、きぼうを見出せませんでした。 みらいに光を見出せなかった少年は、自分でみらいを閉ざしました。 あるところに、若い女性がいました。 その女性は仕事をさがしています。 自分のしたい仕事、自分に合った仕事、とにかく何でもいいから仕事を。 でも、彼女を雇ってくれる人はだれもいません。 やがて、彼女はあきらめてしまいました。 仕事がえられなかった女性は、家にとじこもってしまいました。 あるところに、中年の男性がいました。 その男性は働いています。 自分のために、家族のために、働きつづけます。 でも、彼をねぎらってくれる人はだれもいません。 彼は、つかれてしまいました。 働く気力をなくした男性は、働きすぎて動かなくなりました。 あるところに、年老いた夫婦がいました。 ずっと、こどもを見守り、育ててきました。 今はもう、こどもたちはりっぱに成長しています。 でも、だれも年老いた夫婦に会いにきてくれません。 やがて、その夫婦は自分では何もできなくなりました。 こどもに見捨てられた夫婦は、死んだことにも気づいてもらえません。 ねぇ、こんなことは、"うそ"でしょう――? |
